認知症の進行を防ぐための”未病ケア”

大事な家族が ”未病=病気ではないが誰かが面倒を見ないといけない状態” になった時にどう対応していくか、未病になった方たちになるべく楽しい時間を過ごしていただくにはどうすればよいか:”未病ケア” について考えるプロジェクトです。人の手で行われる未病ケアも、自動化して行うべき未病ケアもまだまだ改善できることがあるなーと感じています。ぜひ皆さんの経験もシェアしていただき、”未来の未病ケア” がどうあるべきなのか一緒に考えて改善のためのムーブメントにしていきたいと考えています。

入院が必要な状態というのはおおよそ突然やってきますから、ある意味心配しても仕方がないとも言えます。ですが、そうなる前に必ず”未病=病気ではないが誰かが面倒を見ないといけない状態” という段階があります。その段階ではいろいろな対応が可能で、どういう対応をするかがその後の経過に大きく影響します。 ”未病”については医療従事者の方々が家庭での生活習慣的な意味での改善策を話題にされていますが、周囲の人たちがどう対応するべきか(人が行う対応について)は議論されることは無いようです。ここでは未病の段階で周囲の人が行う対応を ”未病ケア” と呼び、どういう対応が良いかを考えていきます。

施設にいる母とTV電話をしていたら、『今、国技館にいるんだけど遅くなっちゃったからから車で迎えに来てよ。』 と言われて面食らったのをよく覚えています。言っていることは滅茶苦茶なんですが、伝わってくる言葉はとても明瞭で驚きました。最初は完全にボケたかと思ったのですが、良く考えてみるとその時までラジオでお相撲の実況中継を聞いていたから、すっかり自分は国技館にいるのだと思ったらしいのです。あー、ボケるというのはこういう事なのかと実感した瞬間でした。要するに夢の世界と現実世界がごちゃ混ぜになって区別が付かなくなるのだなと。程度の差はあれ、私達だって夢から覚めた時にどっちの世界だかわからない時はあります。それと同じなんだなと。ベッドでずっと寝ていればどうしたってそうなるわけで、それ以来、ボケるというのもそれほど深刻なことではないのではと思えるようになりました。母もボケた感じの時もあるし、割と普通に話せる時もあって、亡くなる直前まで僕の体の心配をしてくれる母親でした。

未病ケアとは、大事な家族が寝てばかりにならないようにして、現実世界にいる時間を少しでも長くしてあげる事です。そのために私たちが何ができるかを考える必要が有ります。極端な症状を除けば、歳を取ればみんな多かれ少なかれ頭が回らなくなってきます。それを認知症とかボケたとかいうことも出来るでしょうが、60歳くらいでも若いころに比べれば物忘れもするし、人の顔は覚え難いし、段々に忘れっぽくなってきます。ですがそういうものだと思ってそれなりに生きて行けば、仕事も出来るし十分人生を楽しめると思います。面倒見る側とされる側とかではなく、一緒に人生を楽しむ方法を見つけたいと思ってこの本を書いています。

実際に”未病ケア”を体験してみると、日本の病院や介護施設は大変良くできていると思うのですが、そのシステムから外れることには制限が多いのです。今の日本は病気の治療に関しては世界でも有数の先進国だと思います。よほどひどい病院に当たらない限り水準以上の治療が受けられるでしょう。でも、治療ではなく”未病”の人たちのより良いQoL(Quality of Life)についてはまるで考えが定まっていないのです。それは尊厳死についての議論が進まないのと同じ原因でしょう。つまり、今はまだ”病気を治す”という事を中心にしか考えていないのです。”病気さえ治れば問題はなくなるのだ”という昔ながらの考え方から進歩していません。どう死ぬかについての議論も相変わらず避けられています。病気は治るが心の平穏は得られないともいえるかもしれません。

未病の方たちのQoLを上げるにはどうしたら良いか? いろいろ考えて行き着いた答えは、

未病ケアを ”やらなくてはいけない辛い作業” から ”一緒に出来る楽しい作業” に変えよう!”

でした。深刻に考えたってどうせ良いことは起きません。決して100%の解決は出来ないことで、悩んだって仕方のない事です。良いことも悪いことも含めて楽しもうと考えた方がずっと前向きです。介護する側もされる側もその状態は仕方のない事だと考えて、いかにそれを楽しく過ごすかを考えるべきだと思います。

未病ケアを ”やらなくてはいけない辛い作業” から ”一緒に出来る楽しい作業” に変える、つまり 未病ケアをエンタテインメントにする方法です。そのためには未病ケアとその環境が今はどうなっていて、それをどう改善していくべきか皆でシェアし、それにふさわしい考え方や環境を整えていくべきです。人手ですべてやるのが難しいなら、今の技術で自動化していくことも考える 必要が有ります。

未病ケアをすでに経験された皆さんとこれからそれに直面する皆さんと一緒に”未来の未病ケア”について情報交換して熟成させ、社会的なムーブメントにしたいのです。無料で情報シェア出来るコミュニティー:FaceBookグループを用意しました。ぜひご意見をお聞かせください。

なおここでは認知症の定義を 『”認知力が下がっている軽度認知障害”は原因によらず”認知症”の初期段階である』 によっています。完全な病気(アルツハイマー病などの明確な原因が有る)としての認知症もあれば、”認知力が下がっている軽度認知障害”という意味での認知症もあると考えられます。介護の世界では後者を認知症ととらえ要介護認定をしている様です。私の母は当初要介護2と認定されましたが、その時はまだ普通に会話できていましたが認知症の初期段階と判定されていました。

また、”未病”については医療従事者の方々が家庭での生活習慣的な意味での改善策を話題にされていますが、その段階で周囲の人たちがどう対応するべきか(人が行う対応について)は医療的に議論されることはないようです。ここでは医療的な病気の定義ではなく、一般の人が行う介護対象としての”未病”を考えています。(私は医療従事者ではありませんので、医療行為については書きません。)

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